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八つの神様ご利益めぐり






熊本県和水町の三加和地区に、ちょっと面白い神様がいるので紹介します。通常、神社に祀られている神様と言えばありとあらゆる願いを聞き入れてくれる万能タイプ。しかしここ和水の神様は身体に関するスペシャリストなんだ。目、イボ、胃、性(腰)、歯、命、耳、手足の神様がいて、「八つの神様ご利益めぐり」という町おこしをやってるんだよ。では、8つの神様を順番に紹介したいと思います

まず最初は目の神様です
目の神様(岩本宮)
戦国時代、肥前の竜造寺軍勢が神尾城(城主大津山家稜)を攻めた時、一人の手負いの武士が、この岩壁の中腹の藤かずらにひっかかり宙吊りになっていたのを小次郎丸の村人達が見つけ下ろしてやったものの、敵の侍と知り怖さのあまり、鋤・鍬等で打ちころしてしまったという。その武将は岩本と名のったという。村人達は敵将とはいえ惨殺したことを後悔して、この地に手厚く葬り、いつの頃からか小さなお堂が建てられ、それを岩本神社と称し、通称「岩本さん」と呼ぶようになった。それ以来村人達は、無病息災・家内安泰の祈願所としてたてまつり、又特に目の病に霊験あらたかな神様として祭るようになったと言われている

敵の侍を叩き殺し、いつのまにか神様になった岩本宮。それだけでも興味深い話なのに、なぜ目にいいといわれるようになったのか。不思議だなぁ

たくさんまわらないといけないから次行きます。2番めの神様はイボの神様
イボの神様(イボ石さん)
ここに鎮座している巨石を総称して、地元では「いぼ石さん」と呼んでいる。この石は、いぼ取りに効能のある神様として、昔から参詣する人が多く、いぼで悩んでおられる方々の祈願所として祭られている。願たての祈りは、自分の年齢の数だけ煎った大豆を献上し、石の上に患部をすりつける習わしがあり、御願成就の際は、必ずお礼参りをすることになっている

イボの神様やお地蔵さまはわりとよくあるね。ここは大きな石が2つあります

丸い大きな石

わかったぞ。奥にある石から、さっきの丸い石がとれたんだ。だからイボの神様か。なるほど

3番目は胃の神様です
昔は、正月や例祭日には、近所はもちろん遠方からも大勢の参拝者があったと言われている。地元では昔から「胃病に御利益がある神さま」との言い伝えがあり、胃病の治療祈願の折には、どじょうを参拝途中の池に入れてお供えする習わしがあったという。昔から、胃弱の人が、お参りを続けると不思議にも元気を取り戻すという霊験あらたかな神様の一つである

胃の神様へお詣りするにはプチ登山が必要です。5分ぐらいで行けるんだけど、わりと急な坂道なので杖を借りた方がいいですよ

フーフーいいながら到着しました。この道を何度も往復したら、胃だけじゃなくて健脚になるよ

祠のまわりには猿の置物が数体あります。胃の神様なのにドジョウを持参するんだね。ドジョウって胃の掃除をしてくれるのかな。たぶんコンニャクと同じような発想だと思います

4番目。性・腰の神様(七郎神)
性・腰の神様(七郎神)
正治2年(西暦1200年)12月4日、坂梨家の祖である坂梨弥五助は、土地鎮護と農耕開拓の守護神として、肥後一の宮阿蘇神社本宮より、御分霊を戴き、この吉地村に下り、山森阿蘇神社を創建したと言われている。その時、供養者の一人として同行してきた坂梨七郎右衛門は、この塩井谷に住居を構え、農耕技術の普及に貢献した。村人達は、七郎右衛門の地域では、毎年農作物の農作を祈願し、種の繁殖・増強とともに、生むは産むに通じ、子孫繁栄・安産・夫婦和合の神様として、蔭茎弱き人、子宝に恵まれない人、縁遠き男女、夜尿病、足腰の病等諸病に悩む人々それぞれに霊験があり、現に受児除災、蔭茎弱き人、足腰の病等著しき御霊験を受けて歓喜している事実がある。信仰・祈願する人は、作りものの男根を奉納する習わしがあり、御願成就のあきつきには、男は白色、女は赤色の布に住所・氏名・年齢を書いてお礼参りをする風習がある

八柱の中で特に人気があるのが七郎神。性にまつわるものといえばあれ。アレが奉納されてるから多くの人がブログに書いてるの。みなさんスケベだね~(笑)

七郎という名前は人の名で、豊作祈願から子宝・子孫繁栄に転じたようです

そんなに広い場所ではないけどきれいに管理されてるよ

性神・夫婦和合の神様 七郎神
所在地 三加和町大字西吉地字塩井谷
御祭神とその由来
「七郎さん」と呼ばれて、人々に親しまれている七郎神は、山森の阿蘇神社とのかかわりが深い。今から約800年前の正治2年(西暦1200年)11月阿蘇家の家臣・坂梨弥吾助が、阿蘇五宮大明神を捧持して祀ったのが、山森阿蘇神社の起源である。そのとき、坂梨弥吾助の伴をして、下向してきたのが、坂梨七郎右衛門である。七郎右衛門は、その後清烈な水がほとばしる山紫水明のこの地に居を構え、農耕生産に貢献したと伝えられている。七郎右衛門が、この地で生を終えると、その遺徳をたたえて七郎神として祀られることになったようである。この地域では、毎年豊作を祈願し、種の繁殖と言うことで、産むは生むに通じて子孫繁栄五穀豊穣・夫婦和合の神として崇められてきた。大きい古木の元には、文化13年(1816年)の銘のある石のほこらがあり、木製の男性器が供えてある。婦人病に効くとされていたのが、いつのまにか、男女共に腰から下の病に霊験があるといわれている。今でも、願をかけるときは、男は男性器、女性は赤いサラシを供え、御願成就のあかつきには、供え物を持ち帰り、代わりに白いのぼりを奉納する習わしがある。4月9日の正月命日には、地元地区民総参加のお祭りが開催されており、毎月9日には、遠くは福岡・大分方面から多くの参拝人があり、神前には線香の煙が絶えず、参道には白いのぼりがはためいている
平成5年3月14日 三加和町教育委員会

七郎神は塩井谷神社とも呼ぶそうですが、御祭神の坂梨七郎右衛門が祀られてるのはどっちだろう。賽銭箱があるからこっちかな

その左側には紅白の布がかけられている賑やかな場所があります。御神御輿奉納堂と書かれてるね。お神輿のまわりにはたくさんの木製男根が奉納されてます。男女共に腰から下の病に効くようですが、もともとの豊作祈願からか種を連想させる男根ばかり。女陰は大きなものが2・3個あるだけです

男は白色、女は赤色のさらしに名前と住所を書いて祈願するんだって。ここにあった看板には最初に男は男根・女は赤いサラシを供え、成就された時に白いのぼりを奉納するとある。どっちが正しいんだろう。こういうのって伝言ゲームと一緒でだんだん内容がかわるんだよね。まわりに白い幟がないから、現在では前者の方で信仰されてるようです

一番大きな木製男根には紅白幕がまかれてた。Youtubeの動画にこの木と思われる男根のまわりでひょっとこ踊りを奉納したものがあります(七郎神大祭)。祭りの時だけ御祭神を男根に移してるのかな

男根・女陰が対になったもの

白いサラシがすごいとこにかけられてます
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せっかくなのでアップです。お毛毛も見事に再現

しあわせ橋の左側にある男岩と女岩。普通の岩でした

チンをたたいて三拝。真下には円柱形の鉄の塊があり、それを叩くみたい。形がおもしろかったら叩くけど、ただの鉄でした

一通り見たので今度は道路を挟んだ広場に移動です。随喜の泉から出た水で顔を洗ってすっきりしましょう

5番目は歯の神様
歯の神様
吉地校時代(明治9年~大正3年)当時、吉地校に学ぶ生徒のなかで歯の痛みのある子供たちがお参りして快復を祈ったと伝えられている

立看板があって首のないお地蔵様があるからここがそうだと思ったの。だけど歯の神様は別の場所にいるみたい。もしかしたら和水町には歯の神様が2ヶ所あるのかな。気を取り直して次行きます
歯の神様
歯の形に良く似た墓石(板碑)は、鎌倉時代から室町時代にかけて造立されたのではないかと推測される。その両脇にある宝筺印塔と五輪塔の存在がそれを示しているが、定かではない。いずれも、先亡者の供養や墓石として作られたものと思われるが、地元では昔から歯の神様として信仰してきた。歯がうずく時には、白砂又は米をお供えして参拝する習わしがあり、不思議なことに歯の痛みを鎮めてくれるという日本でも珍しい神様である

6番目は命の神様(遠野立神)です
命の神様(遠野立神)
御神体は石であり、昔から「命助けの神様」と言われ、生死にかかわる病気の時、一生に一度だけ平癒を願えば、必ず叶えられると言われている。地元では「坂梨弥五助が山森阿蘇神社を勧請した折に建立されたのではないか」と言われている。八つの神様の中でも命にかかわる神様として異色の存在である

命の神様っていうのは初めてです。面白い神様がいるもんだね

中にある石が御神体

7番目は耳の神様
耳の神様(柳川由布大炊助の墓)
天正15年(西暦1587年)12月、佐々成政の要請受け、和仁一族の田中城攻めに参戦した大炊助は、豊後由布氏の一族で、筑後柳川城主・立花宗茂の家人であった。騎馬大将として先頭に立ち、大手門より攻めいく中で、家来から「あぶのうござる!お下がりくだされ!」と強くとがめられるも、もともと耳が不自由な大炊助には届かず、城中から放たれた矢に胸を射抜かれ討ち死にしたという。それを伝え聞いた村人達は、大炊助を丁重に葬り、代々供養をし続けてきたことが、後の悲話として語り継がれている。墓前には、火吹き竹が供えられ「耳の神様」として祭られている

耳の神様になった柳川由布大炊助さん。耳が不自由であったがために命を落とし、その後耳の神様になったようです

墓石の前には竹筒があります。節のところに小穴が開いた火吹き竹で、耳の通りがよくなります様にって願掛けしてるんだね

ようやくラスト。8番目は手足の神様です
手足の神様(立山の足手荒神)
立山の足手荒神は、その昔六嘉(現在の上益城郡嘉島町)の足手荒神を分霊して当地に霊祀したと言われており現在も当時のままの状態で安置されている。足手荒神前の小さな池には以前は白い水がこんこんと湧き出ていたそうであるが、水量は減ったものの今も白い水が同様に湧き出ている。それを伝える伝承話に、「竜神がくれた乳の水」として、今も語り継がれていりる。足手荒神さんと白い水は、昔から深いかかわりがあり、霊験あらたかな祈願所として、静かなブームを呼んでいる

手足の神様は嘉島町にある足手荒神から分霊されたもの

手形足型は1枚200円。手足の痛みを和らげたり足が速くなるなどのご利益があるそうです

途中からはスタンプラリー気分になったけど8ヶ所全部まわってよかったよ。時間はだいたい1時間30分ぐらいだったでしょうか。数キロ四方に点在しているだけなので効率よく回れます。土地柄そんなに医療施設が充実してなかっただろうから、このような信仰が生まれたのかな。大変興味深い八つの神様ご利益めぐりの旅でした
(熊本県:玉名郡和水町の三加和地区)
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この記事へのコメント
だいぶ前に行った時は七郎神とイボの神様しか見てなかったの。やっぱり8カ所すべてお詣りすると気持ちいいですね。胃の神様と命の神様っていうのが個人的にはおもしろかったです
最初は2回に分けて記事を書くつもりでした。なにせ写真が多いのと看板の文字を入力するだけでも結構な作業になるからね。だけど、検索でたどり着いた人が1つの記事になってる方が読みやすいかなぁと思って。心配してくれてありがとうございます♪
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- らぼっち - 2012年08月26日 00:31:35
1時間半くらいで回れるんですね
しかし、2回くらいに分けてアップでも良かったのではないですか
うちらは七郎神様だけで十分満足でしたけど
写真見て、あのワクワク感を思い出しましたよ^m^
確かに綺麗に管理されているのは嬉しいですよね♪